急速に進歩するデジタル技術を背景に、デジタル技術を活用した新しいサービスが始まる一方で、旧態依然としたサービスがなくなり、新陳代謝が促されるなかで、生き残りをかけて民間企業におけるデジタルトランスフォーメーションの動きが進んでいます。
一方、市町村など自治体における取り組みはどうでしょうか?昨年、内閣府が主催したデジ田甲子園では、北九州市や前橋市などの取り組みが表彰され、デジタル技術を活用した様々な取り組みが進められていることがわかります。
しかしながら、多くの市町村ではその前段階の取り組みで苦労している状況ではないかと思われます。現在、市町村で進めているDXの取り組みは、総務省で示している自治体DX推進計画などに基づいて進められています。そのなかで、自治体DXの重点取組事項として以下の6項目が挙げられています。
【自治体DXの重点取組事項】
(1)自治体の情報システムの標準化・共通化
(2)マイナンバーカードの普及促進
(3)自治体の行政手続のオンライン化
(4)自治体の AI・RPA の利用推進
(5)テレワークの推進
(6)セキュリティ対策の徹底
「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」等の改定(総務省)
このなかでも初めに挙げられている(1)自治体の情報システムの標準化・共通化 については、2025年度までに行うこととされており、移行期間などを含めると待ったなしの状態になりつつあり、各市町村の情報部門はこの対応に追われています。特に、DX推進の専任部署が設置されている市町村は全体の25.2%に過ぎない(同計画p11)ことから、専任部署が設置されていないような市町村、特に担当者1名もしくは数名で情報部門全体を担当しているような小規模な自治体では、他の取り組みに手が回っていないような状態ではないかと考えられます。
その一方で、国が進めるデジタル田園都市国家構想では、デジタルの力を活用して、地方の社会課題の解決など地方創生の促進を求められており、上記のような中でも新たな取り組みを進めて行く必要があります。